2009/08/18 (Tue) 15:30:52 ぶぶぶぶ

突発的に幸村とブン太のお話


いつか漫画にしたいなとかそんな感じですし、そもそも私文章書くの下手くそなんで変なところは大目に見てやって下さい


いわゆる自分用メモです

幸村君と初めて会ったのはテニス部に入部したての頃。
いや、会ったというか、一方的に俺が知っただけみたいなもんだけど。
最初は女みたいな可愛い顔してんな、って思った。

ただ、それだけだった。

だけど、同じ一年生には勿論、先輩達にすら試合で勝つんだ。
誰も幸村君には勝てなかったし、幸村君は誰にも負けなかった。

 

 

 

「なあっ、幸村君レギュラーにも勝っちゃって凄いよな！」
「ふふ･･･そうかな。ありがとう」
「あ、てか俺の名前知ってる？俺丸井ブン太っつーんだけど」
「知ってるよ。君のプレイは何度も見ているからね。鉄柱にボール当てる･･･」
「鉄柱当て！まんまだけど」
「ボールがネットの上をころころ転がるやつとか･･･」
「綱渡り！まんまだけど」
「あれはきっと君以外に出来る人はそうそういないと思うよ。俺も真似出来ない」
「へへっあんがとよ･･･じゃなくて！俺のことは良いんだよぃ！」
「え？ああ･･･君も俺のこと知ってくれてるみたいで嬉しいよ」
「いや･･･そうじゃなくて･･･。まあ幸村君のこと知らないやつはこのテニス部にはいないと思うぜ。
　･･･とにかく、俺は幸村君と仲良くなりたくて来たの！」
「えっ、仲良く？俺と？」
「駄目なのかよぃ？」
「いや駄目とかじゃなくて･･･俺達、今初めて話したばっかりで、クラスも違うし、
　お互い知っていることと言えばテニスの関係することくらいだから･･･」
「知らないことはこれから知れば良いじゃん！
　･･･俺さ、初めて幸村君の試合を見てからずっと幸村君に憧れてんだ。
　まぐれで勝っているんじゃない、勝つ意思を持って勝っている。
　強いんだ。幸村君は。だから憧れるんだ。
　同じテニスプレイヤーとして、友達になって、もっと仲良くなって、
　一緒に上を目指したいんだ」
「･･･････････････」
「･･･ごめん、さすがに引くよな･･･」
「いやっ、違う、違うんだ！そんなこと、ないよ。
　そんなふうに言ってもらえたの、初めてで、嬉しくて、でも何て言えば良いのか分からなくて･･･」
「幸村君は俺と友達になるのは嫌かい？」
「いや･･･、俺も、君さえ良いんだったら･･･」
「やったああああ！じゃ、これから宜しくな、幸村君！」
「ちょっと、大袈裟すぎだよ･･･！ふふ、丸井君って面白いね」
「えーっ普通だろぃ？つか、俺のこと『丸井君』じゃなくて『ブン太』で良いから！」
「そう？じゃあブン太も『精市』って呼んでくれても･･･」
「いや、俺は良いの。憧れの幸村君に敬意を持っているってことで！
　俺が他人のこと呼び捨てにしないの、マジレアなんだぜぃ」

 

 

 

幸村君と友達になれて、本当に嬉しかったよ。
近くにいて分かったことがある。幸村君は強いだけじゃないんだ。
自分の才能に自惚れず、限界なんか無いかのように、上を目指して死ぬ程努力をする人なんだって。
だから俺は幸村君みたいにもっともっと頑張ろうって思ったし、俺なりに努力してきた。
部長になっても幸村君は努力を怠らなかった。寧ろ、今までの倍の練習量をこなし、
部長としての仕事も、学生としての本業もきちんとこなしてきた。
テニスプレイヤーとしてだけではなく、一人の人間として、本当に尊敬できる人なんだ。

 

 

そんなに頑張っている幸村君が、何で病気にならなきゃいけないのか、俺には分からなかった。

 

 

「なあ、幸村君」
「なんだいブン太」
「俺、幸村君がいないと嫌だから」
「え？」
「幸村君は一番つらいのは分かっているつもりだけど、本音を言うとさ、
　早く元気になってもらいたい。早く、早く退院して、テニス部に戻ってきてほしい。
　俺、幸村君と、またテニスしたい」
「･･･うん」
「幸村君がいないのは、寂しい」
「･･･うん」
「俺、ずっと待ってるからさ、だからさ、戻ってきてよ、
　俺は幸村君じゃないから、幸村君の痛みも苦しみも分からないから、
　こんなこと言われるのは幸村君にとって嫌かもしれないけど、
　幸村君と、一緒に、テニスしたいんだ、戻ってきてほしいんだ」
「嫌なんかじゃ、ないよ。俺も同じ気持ちなんだ。
　･･･俺は絶対に戻るよ。だからさ、待ってて」

そう言って幸村君は俺の頭を撫でてくれた。
温かくて、優しくて、少し、か弱い感じがした。

だけどその瞳は強く輝いていた。

「･･･約束だかんな」
「うん、約束」